「釣れるか釣れないか。
そこに真剣になれる彼らが可笑しくもありまた、
羨ましくも、ある。」
青野賢一(BEAMS RECORDS / World Of Echo)
・・・カリスマDJ、カリスマ・バイヤー、カリスマ・ディレクター・・・の
青野さんコメントありがとうございます。
俳句みたいでカッコいいです。
――個人的に何か釣りに対する信念のようなものはありますか?
J 一番最初の回にジムと鮫釣りをしただろ?あのときに決心したんだけど、釣った跡でまた水に戻してやるようなスポーツ・フィッシングは邪道だと思うし、したくない。釣ったら食べる。自分じゃなくとも誰かが食べる。それがポリシーかな。デニスとの回で毒があるかもしれないエイを釣っただろ?あれだってガイドの男が食ったんだぜ!
――日本ではエイのヒレを酒の肴にしたりするけど(笑)……。
J アメリカでも食べる人はいるよ。俺は美味しいと思うぜ。
――日本の刺身とかでも大丈夫?
J もちろん!あと、鯛なんかも釣って調理してみたいよ。
――ところで、ジムとの鮫釣りで思い出したんですが、最近ボブ・ラフェルソンの新作『ブラッド&ワイン』を見ていたら、冒頭にやはりスティーブン・ドーフが鮫釣りするシーンがありました。これって結構スポーツとして流行しているのかな、と思ったんですが……。
J どうかな。少なくともモントークには鮫がたくさんいるし、鮫釣りも盛んだけどね。
――『ブラッド&ワイン』以外にも、たとえば『黄昏』とか『老人と海』みたいに釣りをモチーフにした映画っていうのが特に好きだったりということは?
J それはないな。もっとも『ジョーズ』は大好きだし、偉大な映画だと思ってるけどね。、……もちろん一作目だけだよ(笑)。
――ところで、『FISHINF WITH JOHN』の第2クールを製作することになったとして、仮に今度はゲストとして友達ではなく、あなたが会いたいと思っているけれどもまだ会ったことのない人たちを釣りに誘うことになったとしたら、どんな人たちを誘いますか?
J まずはゴルバチョフとは是非一緒に釣りをしてみたいね。それとNBAのチャールズ・バークリー。あとは……うーん、あっ、そうだイヴォンヌ・トランプ!あとピーウィー・ハーマン。それとマーロン・ブランド。
――すごい顔触れだ(笑)。
J 願わくば複数を連れて、たとえばピーウィー・ハーマンとイヴォンヌ・トランプみたいなビザールな組み合わせで一緒につりに行きたいな(笑)。
……ジョン・ルーリーインタビュー、今回で残念ながらおしまいです。いかがでしたでしょうか?興味をもたれた方はぜひDVDを!
(このインタビューは1998年に収録されたものです)
――ところで、釣りについては純粋な趣味ということだと思いますが、これが仕事に何かプラスの要素をもたらしている、というようなことはありますか?リフレッシュにはなるでしょうしあるいは忍耐を学んだとか?
J 忍耐ということに関して言えば俺はゴルフこそ忍耐のスポーツだろうと想像している。俺自身は、やればきっといかに自分が気が短いかってことを認識させられるに決まっているから一度もクラブを握っちゃいないけどね。
――それは正しいかもしれない。でも、デニス・ホッパーはゴルフが大好きですよ(笑)。
J 釣りに関して言えば、少なくとも今回のシリーズは俺にとって一つの装置のようなものとして機能している。人は釣りをしているときにはよりその人らしくなるというか、リラックスするわけだし、誰かと一緒にどこかへ釣りの旅に行くというのはシュチュエーションとしてもより冒険的になるしね。……だからこの企画にとって釣りというのはとても重要な要素なんだ。
――釣りをするという行為は、おそらく人間の歴史の中で――たとえばネアンデルタール人の頃から本能的に人間が求めるものだったんではないかと思います。
J それはその通りさ。でも、現代においては完全に変質している。人は食料を得るためでなく趣味で釣りをするようになったからね。でも本能と言うのは変わらないから、釣りをしていると人がどんな風に振る舞うかがあからさまになってくる。そこが面白いし、この企画のポイントでもある。それと、もうひとつ付け加えるならば人は釣りとかに熱中し始めると15分もするとキャメラの存在を忘れてくれるんだよ。だからありのままの姿が映し出されることになる。
――6つのエピソードを通して観ると、最初の頃のジムやトムとの回よりも後半の方がより凝った作りになっている感じを受けました。
J うん。ジムとの回はパイロット版だったんだが鮫釣りっていうのはエキサイティングだった。で、一年を経てトムとのジャマイカ行きを手始めに回を重ねることになったんだが、まあ釣り自体は普通の釣りになるから、目的地をより冒険的にしたり演出をより娯楽的にしたという部分はあると思う。……あと、ゲストのパーソナリティにもよるかな。マットはとてもシャイな奴なんで設定の方でマジシャンを登場させることでお膳立てをしたりね。
――あとウィレムとのアイス・フィッシングの回などはほとんど物語風でした。
J そして二人は死んだ、っていう部分かい?
――ええ。
J あれは実は俺の友人たちの間では賛否両論で、ふざけすぎだって言う奴もいるんだが君はどう思った?
――僕は好きですよ。その次のデニスの回でナレーションでフォローしている点も含めて。
J 俺自身としても一番気に入っている部分だ。
――ああいったアイデアというのは、世の中につまらない釣り番組が多すぎるからそれを茶化してやろうと言った気持ちがあったとか?
J 少なくとも、スタート時点ではいつもやりたくないことをいろいろとさせようとするジムに対して報復してやろうとは思ってたよ(笑)。
――なるほど。
(つづく)
……ジョン・ルーリーのインタビューはまだ続きます。次回はジョンの一緒に釣りをしてみたい夢のゲストについて。懐かしい名前が出てきますが、その辺はご愛嬌(このインタビューは1998年に収録されたものです)。
勝手にしやがれさんからコメント頂きました!
これこそ男達の遊び方。釣りの事なんて知らなくても楽しければよし。~バカが見るブタのケツ~
(武藤昭平 from勝手にしやがれ)
ドキュメンタリー?コメディー?しかし釣りをする男の瞳はかっこいいのだ!
さぁフィーッシング!
(飯島 誓 from勝手にしやがれ)
ジョン・ルーリーとの対話
インタビュー・文/谷川建司(映画ジャーナリスト)
――さて、とりあえず来日が何回目か?というあたりから。’91年にコム・デ・ギャルソンのファッション・ショーでモデルをやられた時は僕も会場にいたんですが――。
ジョン・ルーリー(J) ライヴには一回も来てないのかい(笑)!
――スミマセン(笑)。今度必ず!
J えーと、最初に来たのは’82年で、バンドで10回くらい来てるかな。後はこういったキャンペーンでも何回か。
――デニス・ホッパーやマット・ディロンはギャルソンの仕事で一緒だったんですよね。その辺りからが彼らとの接点のきっかけだったんでしょうか?
J いや、マットとはお互いにニューヨークだからずっと古い付き合いだ。最初に会ったのがいつだったかは忘れたけれど。……だから彼とのエピソードを撮った時には、彼とはもうジム(・ジャームッシュ)と俺の関係と同じくらいに親しかったんだ。
――ほかのゲストの人たちとはどんな風に友達になったのでしょうか?
J ジムとはもちろん一番付き合いが長くて、おそらく20年以上になるだろう。トムとはどうして知り合ったんだっけな?二人ともプロモーターが一緒なんだけど、確か最初に彼と会話したのはLAでラジオに出演したときに彼から電話をもらったんだと思う。その後NYでライヴをやった時に彼が来てくれた。マットとはおなじニューヨーカーとして顔なじみだったし、ウィレムもそう。彼とはミュージック・ビデオの仕事であったことは合ったんだが、親しくなったのは『最後の誘惑』の時だね。ともかくニューヨークに住んでる者同士だと始終顔を合わせるものなのさ。デニスと知り合ったのは君が行ったという東京でのショーの時だよ。
――各エピソードを見ていて、ゲストの仲間たちとの呼吸がぴったり合っていると思いましたが、やはり各人そういう具合に個人的に親しい関係になっていたことが大きいわけですね。このシリーズでは製作、演出、主演、そしてもちろん音楽のすべてをこなしているわけですが、音楽や演技は別としてこれまでに映像メディアの演出を経験されたことはあったのでしょうか?
J ちょっとした短編映画を2本ほど作ったことがある。バンドのビデオ・クリップとしてなんだけど、まあ大して経験があるわけではないよ。
――それはいつ頃でどんな内容だったんでしょうか?
J 大昔のことで、まあ内容的にはパンクっぽい映画だな。俺はずいぶん前にドキュメンタリーというか、映画の撮影現場の裏側を記録するようなものを撮ってみたくて準備したことがあるんだが、これは実現しなかった。
――今回の経験によって演出というものに病みつきになったとか、今後長編の劇映画を撮ってみたいと思うようになったというようなことはありますか?
J と言うより、俺は長いこと映画を撮りたいと思ってきたし、少なくともここ2,3年のうちに実現させたいと思ってるんだ。
――具体的な企画を持っているんでしょうか?
J ニューヨークを舞台にした話で、2、3種類のヴァージョンをすでに考えてあるよ。
――ぜひ早く見てみたいですね!
(つづく)
……ジョン・ルーリーのインタビュー、いかがでしたでしょうか?この続きは明日またUPいたします。
次回はジョンが肝心の釣りについて語ります。お楽しみに!
(このインタビューは1998年に収録されたものです)